コア科目(必修科目)

 

ジョンソンのカリキュラムの特徴として、1年目の春学期1月からイマージョンまたはエレクティブを履修でき、各人のキャリアゴールに必要な科目を柔軟に組むことができることが挙げられます。そのため、コア科目は1年目の秋学期に7科目、春学期に2科目と短期集中で履修していくことになります。

 

ジョンソンのコア科目は9科目から構成されており、各科目とも7週間(ハーフセメスター)で集中的に学びます。

(なお8月の学期開始前に行われる免除試験に合格すれば、コア科目の代わりに選択コースを履修することが可能になります。)

 

各授業内容は、基礎的な内容から始まりますが、ハーフセメスターという比較的短期間ながらも授業の進度は非常に速く、各科目の終了時点では相当な理解レベルに到達するようにデザインされています。(故に、各授業の予習・復習など相当インテンシヴな学習が要求されます。また、グループワークが多いため、日本人学生にとっては授業の内容以外にも様々な経験という観点で幅広く学ぶことが多いのがコア科目の特徴です。以下、各プログラム概要をご案内します。

 

Leading Teams

行動科学をベースにしたチームマネジメントに係る内容を学習する。 課題設定や評価の留意点、チーム内での衝突の防止などの実践的な内容を含み、コアチーム開始前にチームワーク、リーダーシップの基礎を学ぶ。

 

Microeconomics for Management

会計・ファイナンス・マーケティング・オペレーション等の各理論の基礎を成すミクロ経済の概念について、具体的事例を用いて検証・学習する。授業では主に以下の3点を学ぶ。

 ・ビジネスにおいて用いられているミクロ経済学の基本概念

 ・市場の概念、及び企業が意思決定を下す際に市場が果たす役割

 ・完全競争下並びに不完全競争下における合理的意思決定プロセス

  

Financial Accounting

仕訳から決算書の読み方、キャッシュフロー分析まで、一通り会計の基礎を学びます。具体的には、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフローステートメント、株主持分計算書)の解釈・分析、財務報告の基礎を成している会計原則をカバー。授業では、投融資の意思決定を行う際に財務諸表のどのような点に留意すべきか、また、企業の財務実態を把握するために公表されている各種財務情報をどのように分析するかに焦点を当てる。より専門分野に特化した選択科目が存在するため、財務諸表の作成という細かな会計実務に入るのではなく、財務諸表の活用・分析に重点をおいた授業内容となっている。

 

Marketing Management

ケース・ディスカッション形式。ビジネスマネジャーに必要なマーケティングの主要コンセプトの習得、及びそれらコンセプトが広義の経営戦略や意思決定の際にどのように用いられているかを検証する。ケース等の事例をもとに企業のマーケティング戦略について、各学生が自身のバックグラウンドで得た知見を持ち寄り、活発な議論が展開される。グループワークとしてケースが課されるほか、教授が評価者となって全チーム対抗のプレゼンテーション大会が実施されるなど、チーム活動の比率が高い授業となっている。これらの活動を通じて必然的にチームメイトと親しくなるとともに、アメリカ人のリーダーシップ・チームワークスタイルなども学ぶことができる。

  

Managerial Finance

ファイナンスマネージャーに必要とされるファイナンスの基本理論について学習するとともに、実際の事例を用いて債券・株式・外為・オプション等の各市場がいかに機能しているかとういことについて理解を深める。割引現在価値、金利のTerm Structure、CAPM、オプション評価、バリュエーションは以下の通り。

ファイナンス系のキャリアを目指す学生が最も力を入れる科目であり、各学生とも予習・復習に相当な時間を割いている。また、期中の週末に複数のテストがあり、授業ではコールドコールが連発されるなど、コアの中では精神的にも肉体的にも最もワークロードのきつい科目の一つとなっているが、当該プログラムでの学びは非常に大きく、ジョンソンの学生の間で好評。

 

Strategy

ストラテジーの主要コンセプトの習得、及びそれらの概念が現実の経営戦略立案の際にどのように用いられているか検証する。ポーターの5Forcesにという超基本から始まり、Value Chain、ポートフォリオ分析(BCG、マトリックス等)、M&A、ゲーム理論等、戦略論の基礎をカバー(詳細下記)。大量の事前課題が課され、ディスカッション形式のタフな科目。クラスで学んだメソッドを元に、ケースで実際のビジネスを分析・考察。ケースではPC・小売・航空・自動車等の代表的な企業・産業からSNSまで多岐亘る業界をカバー。加えて、直近のWall Streetの記事に基づき、各企業の戦略(M&A、企業提携等)を分析・考察し、クラスで議論する事も。

 ・Porterの5 Forces、Generic Strategy(Cost leadership, Differentiation, Focus)

 ・Vertical Integration, Horizontal Integration、M&A

 ・Competitor Analysis

 

Managing Operations

オペレーションの戦略的な重要性を説きつつ、ビジネスプロセスを分析・管理・改善するための手法の習得を目指す。事業会社の各ラインのキャパシティ、工程管理(シックスシグマ)、トヨタの生産工程をベースにしたリニア理論、在庫管理等、オペレーションの基礎を広く網羅。具体的にはProcess AnalysisInventory AnalysisSupply Chain ManagementQueuingOptimizationJust-In-Time System、及びQuality Controlを学ぶ。製造業についてのみならず、他業種含めた各個別企業毎のオペレーションを最適化ための必要事項を、レクチャー・ケースを通じて深く学習する。

 

Data Analysis

実際のビジネスにおける各種情報の分析、並びに不確実なビジネス環境下における意思決定を行うために必要とされる統計の概念について習得する。統計学はファイナンス・オペレーションを中心に他の授業においても必須の項目であり、コア終了時には一定の理解レベルまで達するように基礎から応用まで学んでいく。内容は、大きく統計(基本的統計量、相関、各種集計・解析)と確率論的手法(各種分布・回帰分析、検定等)の2つ。授業の概要は以下のとおり。

 ・Foundation of Probability, Random Variables

 ・Binomial Distribution, Normal Distribution

 ・Hypothesis Testing, Estimation

 ・Simple Linear Regression, Multiple Linear Regression

 ・Data Visualization

 

Leadership Principle(2年次)

組織論概論に加えて、マネジャー及びリーダーとして如何に組織を活性化させるかをテーマにした科目。Congruence Modelを用いた問題解決、モチベーションが組織に与える影響、組織のカルチャーの活性化、マネジャーとしての判断軸(Decision Making)、リーダーシップと組織の変革の5つの項目をケーススタディとクラスディスカッション形式で習得。当該科目は、クラス内での発言が重要視されるため、英語を第二外国語とする日本人学生にとってはある意味では難関と言える。ケース、ディスカッション形式。


Integrative Case

Integrative Caseは、ジョンソンが誇る「厳しい時間的制約の中で行う肉体的・精神的にハードなケースコンペティション」です。コア課目全体について凡その理解が深まりつつある一年目の12月頭に行われます。

 

実際の最近のビジネス事例がケース課題として活用され、その課題発表から48時間以内に分析しまとめた解決案を提出し、プレゼンテーションを行うものです。コアチームの中で①自らが如何なるファンクションを負うか、②如何に他チームメンバーの力を引き出してチームのアウトプットを最大化させるか、③如何にチームの中で所要のリーダーシップを発揮するか、を深く考える実践の場にもなります。ケース課題の内容は、ファイナンスやストラテジー等の異なるコンセプトが混在していますので、これまでのコア科目で習ってきた内容を総括するものとなっています。

 

最終的なプレゼンテーションでは、企業のトップエグゼクティブが審査官として参加するなど、緊張感が高い実際のビジネスシーンに近いシチュエーションが作られます。プレゼンテーションはチーム5人全員で行いますが、プレゼンの担当パートを事前に決める事は許されず、審査官がその場で各メンバーのプレゼン順序を指定しますので、メンバー全員が得意不得意に関わらず全ての分野(ファイナンス、ストラテジー、マーケティング等)を深く理解する事が求められます。(チームメンバー全員の理解を高めるための準備でも当然の様にチームワークが必要とされます。)

 

このIntegrative Caseにおける実践経験を通して、1年目の12月というコアの中間時点で、自身の学習状況を振返るとともに、必要なビジネススキル・不足しているビジネススキル(今後の学生生活において自身の学びたいこと)を強く再認識することができます。