Kaz

  • 勤務年数:7年
  • 私費
  • 海外経験:小学校1-2年生:ザンビア, 小学校3-6年生:オーストリア, 高校2-3年生:アメリカ, 社会人6-7年目:台湾・中国
  • バックグラウンド:バックグラウンド: 大手不動産デベロッパーに7年半勤務。留学直前は海外営業部にて上海事務所立ち上げを担当。卒業後は、英系戦略コンサルティングファームを経て、現在、別のコンサルティングファームにてスポーツビジネスコンサルティング業務に従事。在学中はMBA留学ブロガーとして名を馳せていた。一橋大学スキー部卒。
  • 連絡先:ko286@コーネル.edu
  • ブログ:K点 コーネルMBAを越えて
    ※コーネルMBA出願者必読の人気ブログです!

 

目次

Why MBA?

 

率直に言って、きっかけとしてはMBAへの憧れが一番大きい。東日本大震災後にボストン旅行に行き、ハーバード・MIT等の知的な雰囲気と洗練された学生達を目の当たりにした。その時に、自分もこんな世界でもう一度勉強し直したいと思った。ちょうど、超ドメスティックな不動産企業での仕事の幅に限界を感じていて、毎日つまらなく感じていた為、世界中から一流の人間達が集まる中で自分を鍛えてキャリアをリセットし、広い世界へ飛び出したいと思った。多額の費用が掛かることも、在学中は無職無収入になることもわかっていたが、好奇心に強く背中を押された。

 

 

もちろん、それに加えて卒業後に何をしたいのかは良く考えねばならない。私の場合、経営学を広く学び、広くスポーツビジネスに応用可能な知識とスキルを身につけることで、衰退の一途をたどるスキージャンプ競技界の活性化に貢献したいと思った。私はかつてスキージャンプの選手だったが、資金不足で競技を継続できず、非常に辛い思いを味わった。私だけでなく、一部のトップ選手以外の他の選手達も同じような状況にあり、競技人口も競技資金も減少する一方である。このままでは競技自体が消滅すると危機感を持っており、元々この現状を何とか打破したいと思っていた。だが、超ドメスティック不動産会社というスポーツビジネスと何ら関係のない経験しか持っていない私は、競技界そのものを変革するにはいかにも頼りない。故に、ビジネススクールで経営学全般の幅広い知識、背景の全く異なる人々と議論しながらチームリーディングする力、そして世界中の次世代リーダー達との広い人脈を得ることによって、現実に競技界変革を成し得るだけの人間になることが必要だと考えた。

 

Why Cornell Johnson MBA?


次に述べるクライテリア(特に③④は強く意識した)に合致した為に浮上してきたことと、ビジット時に雰囲気にフィットを感じたことが挙げられる。

 

1. ランキング上位であること

私費なので、生活費を含めると2,000万円近い莫大な投資に見合うだけの見返りのある大学であるか否かは非常に考慮した。プログラムの内容そのものにどこまでランキングが関係あるのかは確たる情報は無かったが、少なくともランクが高い程、世界中からトップクラスの人々が集まっているのではないかと考えた。

 

2. 2年制であること

学部時代に全然勉強しなかった私にとって、1年間は短すぎると思ったし、以下③を達成すると言う観点でも、1年間は短すぎると思った。また、2年間じっくり今後のキャリアを考えたいと思った。

 

3. 少人数制で学生同士の仲が良いこと

学校へ行くのは2年間だが、その後もずっと続くような濃密な関係をクラスメイトと築きたいと考えた。勉強した内容はやがて忘れてしまうかも知れない。だが、世界のリーダー達とのネットワークは大きな財産として残り続けることだろう。また、少人数制だと、自分がリーダーシップを発揮する機会をより多く持てるのではないかとも考えた。

 

4. 田舎にあること

クラスメイト達と濃密な関係を築くという観点から、授業時間の終了と共に学生がそれぞれのコミュニティに散らばっていくような環境は避けたかった。授業が終わった後も、学生同士一緒に過ごすような、ある意味逃げ場の無い環境が良かった。

 

5. 教育内容のバランスが良いこと

学部時代に部活一辺倒だった私は、経営学全般を基礎から学びたいと思った。従って、ファイナンススクールやマーケティングスクールと呼ばれる学校ではなく、バランスの良いプログラムを提供している学校が良かった。

 

6. スキージャンプの盛んな地域にあること

できれば在学中にジャンプにも携わりたいと思った。(あまり該当する地域は無いが…)

 

 

Cornell Johnson MBAのおすすめポイント

 

1. “逃げ場”の無い環境

コーネル大が位置するイサカ市はニューヨーク州にあるものの、ニューヨーク市からは東京から名古屋くらいの距離があるいわば田舎にある。アメリカは「大きな田舎」と形容されるくらいほとんど全土が田舎なので、その中では都会に分類されるとは思うが、そうは言っても留学先にNYC、LA、ボストン等の都会をイメージされている人々にとってはイメージとのギャップは大きい。

さて、その田舎のカレッジタウンにあるコーネル大学は、大学全体としては関係者がイサカ市の住民のマジョリティを占める程の一大総合大学であるのだが、ジョンソンに限ってみるとは1学年わずか300名程度しかいない超少数精鋭の学校だ。これは日本の高校の一学年の生徒数と同規模であり、この規模だと顔と名前、どんな人間であるか等を全員が知っているような状態になる。さらに、学校側は学生に対する負荷をカリキュラム上グループワーク等でかなり高めてくる他、学校運営においてもかなり学生のコミットメントを求めてくる。クラブ等の課外活動でも人数が少ない分何らかの役職に就くことが高い可能性で要求される。

 

このような環境下では、一人一人が否応なしにリーダーシップを発揮する必要に迫られる。大きな学校で散見されるone of them的な立場を取ることは許されないのだ。そして、街が小さく学生の行き先も大体決まっている為、バーでもレストランでもスーパーでもどこへ行ってもクラスメイトに遭遇する。文字通り逃げも隠れもできない。

 

ただ、コミュニティが小さい分、互いの理解は深まりやすい。英会話が下手だったりコミュ力が微妙だったりブサメンだったりしても、誠実さや思いやり、そして責任感のある人は周りから信頼を得ることができる。逆に、英語がネイティブでトークがイケていたりさらに顔もイケていたりしても、無礼だったりいい加減なことをしたりしている人には相応の評価が下される。それ故、在学期間を通して一人間として磨かれ続ける。国籍も英語力もバックグラウンドも関係ない。毎日全力で挑まなければならない分苦労も大きいが、卒業した暁には、言葉が通じようが通じまいが、文化的背景が異なっていようが、相手の信頼を得てリーダーシップを発揮する、そのような力が身につくのだ。

 

メディアやTwitter等でしばしば「本を読んだり、英会話教室に通えば身につく程度のスキルの為に大金が求められるMBA留学は意味がない」などという情報が拡散されることがあるが、的外れとしか言いようがない。本や英会話教室では絶対に身につかない上記のような力―それもグローバルに働き、活躍していく為には最も必要な力ーが身につくからこそ、MBAは意味があるのだ。そして、コーネル・ジョンソンにはそれを身につける場所としてはこの上ないステージが用意されている。

 

2. 学びの機会の多さ

コーネル大学はアメリカでも屈指の総合大学だ。自ら求めればジョンソンの中にもジョンソンの外にも極めて多様な研究者や科目が揃っており、それらを活用する機会が揃っている。カバーしている分野は極めて幅広く、有名なホテル経営学はもちろんのこと、公共政策・歴史・国際関係・人事・天文・生物・医療・獣医・アフリカ文化・農業畜産(キャンパス内に農場や牧場があり、リンゴやチーズやアイスクリーム等を生産している)・物理(スーパーカミオカンデのような素粒子観測施設がキャンパスの地下にある)等、枚挙に暇がない。そもそも、コーネル大学の建学の理念は”Any person, any study”、つまり誰であろうともどんな分野であろうとも学ぶことのできる学校をつくるというものだ。好奇心旺盛な人にはいくら時間があっても飽きることのない、魅力的な環境が用意されているのである。私自身、必要単位をある程度取り終えた2年目の後半には、好奇心の赴くままに国際関係やスポーツ(しかも通常はありえないフィギュアスケートやクロスカントリースキー等)をはじめ色々な科目を履修したが、今思い返すと毎朝起きる度にワクワクする何とも贅沢な時間だったと思う。

 

3. イサカの環境

イサカは田舎のカレッジタウンだが、都会では決して手に入らない素晴らしいものに多く恵まれた地である。まず、治安が圧倒的に良い。アメリカ全体を見渡すとテロ等の心配があるのは事実だが、イサカに限ってみれば鹿やリスが闊歩しているようなのどかな環境なので、テロリストもあえて来ようとも思わないだろう。犯罪も極めて少ない。また、コーネル関係者が住民の多くを占めるからか、地域の人々は知的水準が高くリベラルで包容力があり、外国にいると思えない程居心地が良い。なお、私はこれまで海外ではウィーン・ルサカ・上海・台北および米国ウィスコンシン州の小村に住んだことがあるが、居心地の良さはイサカが群を抜いていると思った。

自然が豊かで、夏も冬もスポーツが楽しめる。また、公園やアパートの庭等にバーベキュー台が据え付けられていたりするので、週末は温かい陽光の下、様々な国から来たクラスメイト達と一緒に、地ビールを飲みながらBBQをするというようなことを頻繁にしていた。なかなかこのような経験ができる留学先も無いと思う。

 

卒業後のキャリア

 

現在、とあるコンサルティングファームのスポーツビジネスグループにてスポーツビジネスコンサルティングの業務に従事している。同社・同グループはJリーグオフィシャルサポーティングカンパニーとして、Jリーグの戦略・運営の各種サポートを専属で行っている他、「日本のスポーツビジネス市場の拡大」をミッションに、競技団体・スポーツクラブ・スポンサー・官公庁自治体等にコンサルティングを実施している数少ない組織である。ここでの経験を糧に、やがてMBA留学以前から抱いていたスキージャンプ競技界活性化への貢献という野望を実現できればと考えている。

 

 

ただ、卒業後直接同社で働き始めたわけではなく、元々は英系の戦略コンサルティング企業に入社し、1年半程勤務した。入社したのは、戦略コンサルティングの仕事の汎用性が高いことと「スポーツビジネスのコンサルティングをやりたい」と代表との面接で話し意気投合したからであったが、入社してからの1年半の間に経営方針の転換があり、スポーツビジネス関連の業務を行う芽が無くなったことが明確になった為、退職・転職するに至った。戦略コンサルティング企業は、ジョンソンで学んだソフト・ハードスキルを実戦の場で活かす場としては最適だった。コンサルティングのスピード感は日本の不動産会社のそれとは全然異なる上、社員の半分以上が外国人で言語も英語だったのではじめは苦労したが、しばらくすると慣れ、十分戦っていけるという自信が付いた。学びを実戦で身に染み込ませる経験を積んだことで、スポーツビジネスコンサルティングへの道も拓けたものだと思っている。

 

これから受験される方へのメッセージ

 

ジョンソン生活はまさに光陰矢の如しという程あっという間に終わってしまったが、卒業してからその効果をじわりじわりと実感している。自分の戦闘力がかなり高まったことでキャリアの幅が圧倒的に広がっている。留学前は新卒で入社した不動産デベロッパーで働くことしか選択肢が無かったので、やりたくない仕事を嫌々ながらも引き受けざるを得ない状態が延々と続いていた。しかし今は他の選択肢を選べば良いだけで我慢してまで嫌なことをする必要が無いので、無駄なプレッシャーが無い。そして、実際、卒業後に入社した戦略コンサルティングファームを、経営方針の転換で私がやりたいと思っていたスポーツビジネス関連の案件が出てくる芽が無くなったことがわかったタイミングで辞めた。その上で、別のコンサルティングファームのスポーツビジネスチームに入社することに成功している。自分がやりたいことを選んでやっているので、今はとても毎日が充実している。

 

さて、MBA受験は極めて負担が大きく、受験相談を受けた方々が途中で断念している様子を多々目の当たりにしている。結婚・出産はもちろん、転勤・出世・親の引退・転職等々理由は千差万別だ。私はMBA留学がキャリアアップの唯一の解では無いと思っているので、理由があって断念する分にはそれはそれで良いと思う。ただ、もしMBA留学の意義や費用対効果のような点について疑問に感じて断念しようとしている方がいるのであれば、想像以上のリターンがあるので絶対に行った方が良いとお伝えしたい。

(詳しくは拙ブログに記載しているので、ご一読されたい 。)